「仕事が忙しくて歯医者に行く時間がない、、、」よく耳にするフレーズです。


ムシ歯があることを自覚している人の中で、実際に歯医者に通っている人は2割に満たないという調査結果があります。そして、ほとんどの人がこのまま放置すれば、それだけ治療が大変になることも理解しています。
それでも歯医者に行かないのはどうしてでしょう?

「自分の健康状態を犠牲にするほど、今の仕事は大切である、、、」そんな人、実はほとんどいらっしゃいません。


1番の理由は、当たり前ですが、病院、特に歯医者が楽しいところではなく、不快で苦痛なイメージが強いところだからです。実際、イメージ通りの苦痛の思いをすることも多いです。それで、つい足が遠のきます。それでも命に関わる病気の時はほとんどの人が仕事をお休みするでしょう。結局は歯医者に行かない理由は、歯科疾患に対する危機感が希薄だということにつきるのです。


2番目の理由は、回数(期間)がかかること。特に歯科に対してこの部分を指摘する人は多くいます。「何回通えば治りますか?」僕が患者さんから何度となく受けた質問です。
確かにムシ歯を削って詰める治療や、入れ歯を作る場合はあと何回で、、、と言うことができます。しかし歯周病などは、何回で終了とは言えません。進行状態によっては数年を要しますし、正確に言えば本当の終了というものはありません。ひと通りの治療で歯周病が改善した後も、再発防止のためのメインテナンスが必要不可欠だからです。
ここまでお話すると、多くの方が「え?」と面喰らうようです。しかし、そんな人も「この腰痛はあと何回で治るか?」とか、「糖尿病はあとどのくらい通えば治るか?」という質問はあまりしないのではないかと思います。
歯周病も糖尿病も生活習慣病で慢性疾患です。放置していると徐々に進行し、改善されることはなく、そして真の完治がないという点も共通しています。ではなぜ歯科だけが一般に理解されていないのでしょう?
それは歯科治療が今までほとんど歯医者まかせだったからでしょう。患者さん自身の努力は、通院し苦痛に耐えながら口を開けている以外は必要なし。あとは歯医者が勝手に治してくれる。自分が治しているという実感は全くない。だから通院回数がかかるのも、歯医者のせいになってしまうのでしょう。


3番目、これは全ての患者さんにあてはまることではありませんが、「仕事が忙しい」という方便を多用し、キャンセルが多い人、途中で来院しなくなる人の多くは、プラークコントロール(歯みがき)が改善しない人が多いです。
歯周治療は患者さん自身のプラークコントロールが最も重要です。仕事が忙しく歯医者に通えないのなら、せめて自身で行うプラークコントロールだけでも、、、とはなかなかいかないようです。
結局のところ、疾患を治すために、苦痛な場所に何回も行かなくてはならないということは、理屈の上ではわかっているが、すぐに生命の危険があるわけでもないし、仕事が忙しいということが、格好の言い訳になってしまっているのでしょう。

ちなみに、勤務時間中に歯医者に行きたいのだけれど許可してもらえない、という職場は法律に引っ掛かると思います。許可はもらえても行きづらい、というのならばよく解りますが。
解決策としては、歯医者のことをを好きになってくれれば一番良いのですが、現実がそんなに甘くないことは重々承知しています。最近はずいぶん患者さんの意識が変わってきていますので、もっともっとコミュニケーションをとって、お互いが一緒になって治療を進めて行く雰囲気を作って、中断を少しでも減らす努力だけはしていこうと思います。

次のページでは僕のホントの本音(?)のコメントを書こうと思います。



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