親知らずって抜かなきゃダメ?



「この親知らず、抜かないとダメですか?」
よく受ける質問です。

この質問の根底には「出来れば抜きたくない」という思いがあるのは分かります。
「友人が親知らずを抜いた後に顎が物凄く腫れたのを見ているので怖い」とか、
「抜かずに残しておくと近い将来に再生医療に利用できると週刊誌に書いてあった」とか、、、

結論としては「抜いた方が良い場合が多い」ということになります。

もちろん、何でもかんでも抜いた方が良いというわけではありません。

要するに、「その親知らずを残しておくことによってどれだけのデメリットがあるか」ということなんですね。
残しておくことの意義、抜くことの意義、この2つを天秤にかけるわけです。

そもそも患者さんが「この親知らず、抜かないとダメですか?」と質問なさるという時点で、既に何かしらの問題が発生しているか、何かしらの不快感を感じている、ということですから、「抜いた方が良い場合が多い」のです。

「何ヶ月かに1度は痛んだり、歯肉が腫れる」ということを繰り返すのであれば、まず抜いた方が良い場合がほとんどです。

では、特に痛みもない場合、これはどうでしょうか。

まず、普通にはえていて上下の親知らず同士が咬み合い、きちんと機能している場合。
これは無理に抜歯する必要はないでしょう。
ただし、親知らずは前から数えて8番目の歯です。奥まったところにあるので歯磨きを注意して行う必要があります。

次に、上下の親知らずのどちらかだけがはえていて、咬み合わさっていない時(機能していない:役に立っていない)はどうでしょうか。
これはケースバイケースです。
その親知らずを残しておいてどのようなメリットとデメリットがあるのかをしっかり見極める必要があります。
「親知らずという爆弾をかかえているだけ」ならば抜いた方が良いということになります。

次の完全にはえていなくて歯の一部だけが中途半端に露出している場合においても同様です。

親知らずは、真っ直ぐはえずに横を向いた状態ではえてくることが多々あります。
特に、ひとつ前の歯(第2第臼歯)に引っかかってしまっている場合は、このまま様子を見ていてもそれ以上は出てきません。
そういった状態では第2第臼歯と接している部分が不潔になりやすく、歯肉が腫れたりする原因になります。
同時に、第2第臼歯がムシ歯になりやすく、第2第臼歯の歯周病の進行が急速化することになります。

このようなケースでは多くの場合、「早めに抜いた方が良い」ということになります。

親知らずを抜かずに放置することによって、他の重要な歯の寿命を縮めてしまうわけです。
「将来、再生医療が実用化するまで抜かずにとっておこう」などと言って、結果的に親知らず以外の重要な歯を失ってしまっては本末転倒です。

では、完全にはえていないものの向きが真っ直ぐな場合はどうでしょう。

このケースではすぐに抜かない方が良い場合があります。
完全にはえていない状態よりも、完全にはえるまで待った方が同じ抜歯をするにしても楽に抜けるということがあるからです。

この場合も、その親知らずを残しておくことによるデメリットと、しばらく残しておくことのメリットとを比較することが大切になります。

さて、続いて親知らずが見えない場合、要するに埋まっている場合ですが、「痛い」「腫れた」などを繰り返すならば抜いた方が良い場合が多いでしょう。

では、まったく症状もなく、日常の生活にも支障がない場合ですが、これは前述したように、他の歯にどれだけ影響があるかということが抜歯するかどうかの基準になります。
親知らずが骨の中に埋まったままで、他の歯に悪影響を及ぼすこともなく、天寿を全うされる方はもちろんおられます。

結論としては、その親知らずだけに目を奪われないということが肝要です。
口腔内全体を見渡してトータルで考えてゆくことが大切です。

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