「危険率は3倍以上」
 
喫煙が歯周病を引き起こしやすくすること、または悪化させることは、今や常識となっています。アメリカでは成人人口の4分の1が喫煙者ですが、歯周病患者では半数が喫煙者です。喫煙者が重度の歯周病になる危険性は、非喫煙者の3倍にもなります。しかも、この3倍という数字は過小評価という見方が圧倒的で、喫煙量が1年に20パック以上のヘビースモーカーでは、8割もの人がが中等度から重度の歯周病に罹患していました。

「タバコの量に正比例します」
 生涯に消費するタバコの量は、
歯周病で失う歯槽骨の量と正比例するという報告や、歯周ポケットの深さと正比例するという報告は、世界中で多数存在しており、喫煙は蓄積性かつ容量依存性で、歯周組織に重大な影響を及ぼしているということが証明されています。
ちなみに「蓄積性かつ容量依存性」とは、吸えば吸うほど危険性が増すということ、しかも過去に喫煙してしまったという事実は取り消せない:危険度が累積されてゆくということを意味しているのです。禁煙をしなければ危険度は今後も着実に加算されてゆくのです。

「家族の方も要注意」
 このように、
喫煙と歯周病の因果関係は証明されていますが、さらに重大な問題は、家庭内や職場内での副流煙による間接喫煙の問題です。非喫煙者の歯周病患者のなんと3割の人が、家庭内での環境的喫煙者で占められているのです。職場内での環境的喫煙者を含めると、この数字はもっと大きなものとなるでしょう。

「治療効果に直接影響」
 また、
治療による効果も喫煙者は非喫煙者にくらべて、圧倒的に劣っていることが証明されています。治療後の歯周ポケットの深さや、歯槽骨の再生、歯周病原菌の数などの項目で、喫煙者は非喫煙者とくらべて、著しく劣っていました。

「メカニズムは?」
 喫煙が歯周組織に及ぼす有害作用については、科学的に証明されています。
喫煙がヒトに対して免疫抑制作用を発揮し、細菌をはじめとする寄生体との相互関係に有害作用を及ぼすことは、特に重要です。つまり、歯周病菌に感染しやすくなり、さらにはその菌が私達の身体の中で好き勝手をすることを、許してしまいやすくするということです。

「今からでも遅くない」
 
過去に喫煙者だった人でも現在禁煙していれば、治療に対する効果は非喫煙者とほぼ等しいことが証明されており、禁煙が歯周治療に有効であることが示されています。禁煙によって、治癒能力は非喫煙者と同等レベルまで回復されるのです。

「愛煙家には耳の痛い話かも知れませんが」
 
多くの成人や青年は、喫煙が健康に対して有害であることを認識しています。しかしながら、リスクを伴う他の行動と比較した場合、喫煙の有害作用がどれだけ大きなものであるかは理解されていないようです。
 喫煙率が25%(しかし高校生の喫煙率は43%!!)と社会的に禁煙が浸透しているアメリカでも、死者5人のうちほぼ1人が喫煙によって死亡しています。女性の場合、心血管系疾患が死因の第1位を占めています。1960年代以降、第2位を占める肺がんの患者数は急速な増加傾向を示し、1989年には、女性の癌の死亡率第1位であった乳癌を追い抜いています。男性の場合、肺がんによる死亡率は15歳以上の癌による死亡率の第1位を常に占めています。
 喫煙は社会に対する多額の経済的損失でもあります。
喫煙に起因する疾患の治療に直接費やされる年間医療費は、タバコ製品の総販売額を上回っています(2.5倍以上)。

 
地球規模では、年間400万人が喫煙によって死亡しています。
この数字はAIDS(HIV)感染、結核、母体死亡、交通事故死、自殺、他殺による犠牲者の合計数を上回っています。WHO(世界保健機関)の予測では、2030年までには、喫煙が死亡および障害発生の原因の第1位を占めることとなり、年間1000万人以上が喫煙によって死亡することになります。 このように、悪いことばかり羅列すると、なにやらヒステリックなようにも思われるでしょう。喫煙により精神的に安定し、それが家庭内や職場の雰囲気の安定につながり、結果的に健康に良いといった意見や、タバコを吸って100歳近くまで生きた人を知っているとか、いろいろな声が聞こえてきます。しかし、科学的なデータに関しては、事実は事実として真摯に受け止め、禁煙が無理ならば本数を減らしてみるなど、なんらかの対策が必要でしょう。喫煙の本当の害を知りながら吸っているのと、何も知らずに吸い続けるのでは、長期的に見れば結果が変わってくるようにも感じられるのです。






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