その4

『病的口臭』

 病的口臭には、いろいろな原因が考えられますが、病的口臭の90%以上は、歯周病など口腔内に原因がある場合が多いです。
副鼻腔炎、扁桃炎などの鼻咽喉疾患で口臭が発生することもありますが、消化器疾患が原因で口臭がみられることはまれでしょう。

1)歯周病による口臭
 急性期で痛みや腫れがあり、排膿の激しい歯周病の口臭は菌周ポケットから産生されるかもしれませんが、慢性の歯周病の口臭は、舌背がその産生の中心です。
口臭の原因とされる揮発性硫化物の約60%が舌から産生されていると報告されています。メチルメルカプタンが硫化水素に比べ高濃度であることが、歯周病口臭の特徴です。口臭の強度とメチルメルカプタン/硫化水素比は歯周病の重症度に比例します。

2)多量の舌苔付着
多量の舌苔付着は口臭の大きな原因となります。
揮発性硫化物の中で硫化水素の占める割合が非常に高くなります。

3)ムシ歯による口臭
ムシ歯が1本ある程度で、口臭が強くなるということは通常ありえません。
しかし、ムシ歯が進行して歯髄壊痕(歯の中の神経が腐ること)を起こしたり、多数の未処置菌がある場合には口臭が発生します。

4)義歯の不潔
義歯の手入れが悪く不潔にしていると特有の臭いがすることがあります。
義歯は吸水性があるので、不潔に使用していると唾液成分が吸着し、その中の細菌の作用で臭気物質が生成されてくるのです。
また、不潔な義歯をそのまま使用していると、義歯が接触する粘膜面に炎症が生じたり、周囲の歯がムシ歯や歯周病になったりして、口臭がより強くなることが考えられます。


5)唾液分泌の減少
 唾液には種々の作用がありますが、口臭予防に関連したもとしては、口腔内の洗浄作用、抗菌作用、粘膜の保護作用などがあります。
唾液の分泌が悪くなると、これらの働きが悪くなり、口の中は不潔になり、口臭が強くなってゆきます。
唾液は加齢と共に分泌量が減少し、また、薬物の副作用で分泌が抑制される場合もあります。
抗アレルギー剤、吐き気止め、降圧剤、筋弛緩剤、向精神薬などには、副作用として口渇のあるものが多いです。



<BACK NEXT>


〒251-0033 神奈川県藤沢市片瀬山3-7-3
TEL 0466-28-1374
0120-241829(つよいはにく)